詩人 黒川隆介氏と対談

     

国民文化祭において、京都府教育委員長賞を受賞。

菅賢治氏、中村獅童氏、小山薫堂氏とのイベントGeneration Mix主催や茂木健一郎氏との対談等様々な活動の場を広げているアーティスト。

井上 久しぶりだね。
黒川 久しぶりです。

黒川 子供生まれて変わった感覚ってありますか?

井上 りゅう(黒川隆介)って最初からいきなりガチだもんね(笑)

まぁ、、、、子供が出来ると子供がいなかった時の感情って意外にあっさりと忘れちゃう。今一人でこもって一日中ネット見て酒飲んだりってのは想像できない。
でもその変わり集中力って強くなる。1時間2時間しか与えられてないならその分「がーっと」音楽やれちゃう。不思議なもんで忙しくて時間がない方がいいもん描けちゃったりして、逆に時間がある方が集中できなかったりする。

黒川 井上さんと出会った時、僕は二十歳で井上さんは29歳で、僕もいろんな話をぶつけたりしたんですけど、でも僕が今でも覚えているのが「最近良いのが作れない」と相談した時に「りゅうは自分の生き方も作品みたいに意識してるでしょ?人生も浮き沈みがあるのに作品だけ良い時しかないと思うのはおかしいじゃん」って言われた事を覚えていてその言葉は大きかった。

井上 おれ、そんな上から目線で言ってたのか(笑)

黒川 そうじゃなくて(笑)

黒川 当時僕に話してた事と変わったなって事はあります?

井上 人から言われてそうだなと思った事は正しい事って=割り切れない事でもあるなと。
例えば嫌な事があった時に、それを割り切れるようになると楽になる。だからそれが解決って思い込んじゃうんだけど実は割り切れない事の方が肝心なんじゃないかって。みんな悩みから解放されるのが解決だと思っているから。

黒川 解決から遠ざかっていることですからね。本質的には。

井上 言うほどじゃないのにわざわざ言うクレームだってそうだよね。割り切っている。言った事によって得が生まれる可能性があるから。
それも大事。でも割り切れない自分を受け止める方が得があるって考え方もあるよね。

黒川 そういう意味では自分が20歳の時、トゲトゲしてた。でも今29歳になっても割り切れないんですよね。大人になると割り切れると思っていたけど大事にしている詩があるとフォーマット的な生き方が出来なくて、表情も硬くなって愛想笑いしか出来ないんだと思う心境になってたので、、、。井上さんに割り切れなくていいと言われるとでかい。

井上 つうか割り切れる詩人っていらなくない?

黒川 そうなんですよ。でも割り切れてる詩人が結構な人数で売れてる。僕は映像もやっていて評価はされたけど、一個人の作品を高められるものではないと感じた時に、本当に表現したい事は一ミリも評価されてないんじゃないかと。
だから誰にも評価されなくても、寝不足で詩を書いたりしちゃう。

井上 誰よりも自分に期待してるのは自分だからね。
そこで寝ちゃった方が後悔するって分かってるから書いてんでしょ?

黒川(笑)ここ十年で自分変わったなと思う事はあります?

井上 (築地本願寺や、都内の音楽団等の)指揮者になった事だね。自分と相性が良い悪い関係なく、みんなで一つの方向に向かわなければならないという責任と自覚を持たなければならないという仕事に恵まれるとは思ってもみなかった。以前のスタイル(シンガーソングライター)だけでやっているのであればその心構えは必要がない事だったからね。
つうか茂木健一郎さんとの対談どうだったの?

黒川 めちゃくちゃ良かったですね。
あの人は脳科学者っていう名がなくても一万人の人の前に立っても沸かせちゃうっていう。茂木さんはすごい。

井上 脳科学者っていうと超技巧派ってイメージが強いけど、感覚的な天才系の要素が強い人なんだ。

 

黒川 茂木さんとはずっと付き合いがありますね。それも含め、僕はここ3年間、自分の企画やらでたくさんの人に出会ったんですけど売れてるとか知名度がある人ってテクニックが9割ぐらいしめてる事が大半でほとんどの人が大した事ないと思いました。才能ないなっていう。

 

井上(笑)名波(元サッカー日本代表10番 現ジュビロ磐田監督)さんは?

 

黒川 サッカー選手の?いや、名波さんはすごかったですね(笑)スポーツですし。

 

井上 そりゃそうだよ。 

 

黒川 僕一緒にサッカーしたんですよ。平野さん田中さん服部さん(全員元日本代表)もいて。

名波さんはずば抜けて上手かったですね(笑)

井上 つうかサッカーだったら呼んでよ。

運動神経悪そうに思われるんだけどずっとスポーツやってたんだよ。

 

黒川 月一でフットサルやってるんできてくださいよ。

井上 行く行く。 まずは3ヶ月ぐらい走り込むわ。

井上 さて、話は変わるけど作品を作るという立場に置かれている人は、自分が描くクリエイティブの方向性をどこに持っていくかという自問自答が、大きい少ない関わらずあると思う。

りゅうは当時頭半分金髪で裸の体に「革命」と書いてイベントをしてた。

黒川 今はそれやるの無理ですね(笑)

 

井上 でもそのスタイルって足し算の表現の仕方だと思う。

料理に例えると、旨味調味料をかけまくったインパクトの料理。

でもそれとは逆に無駄な物を削げ落とした引き算の料理もある。

多くの人の最初は足し算から始まる。

でもどっちのスタイルでも需要はある。

むしろ一番危ないのは半端な50%50%。

繊細な日本料理に旨味調味料をぶっかけるスタイルという。

黒川 ただ、今でもあのスタイルだったらラーメン屋でいう行列店になったかもしれないです。

井上 そう考えると需要をどこまで意識するのかでクリエイティブ能力も変わってくる。自分が表現した作品に需要がなけりゃ、需要に合わせようと考えるより、バイトしながらでもそれを貫きたいという生き方もあるしね。

黒川 僕はそうですね。

シンプルな質問なんですけど、死ぬのは怖いですか?

井上 怖いだろそりゃ。でも人格からいろんな感情を捨てて、死ぬのが怖くなくなったら今の心はないじゃん。
そう思うと死を想像するのは、自分の価値を見つめなおせる大切な時間になるのかも知れない。
大半の人がそんな事思ってどうすんの?と思うかもしれない。けど人は絶対に死ぬ。でも死ぬのが怖いと思う自分こそ、自分の本当の価値に早く気付けるのかもしれない。

黒川 唯一人間が動物の部分から飛躍出来る事って想像するって事だと思うんですよ。

井上 そうだね。優しさも想像力だと思う。そこにある焼き肉のタレにりゅうが肘付けてから大丈夫か?って事は誰にも言えるけど、付けそうだなと想像して「気をつけなよ」っていうのは想像したからこそ言える優しさなんで(笑)

黒川 話って大事ですね。
言葉がないと思想も話せない。

井上 また話は変わるけど、例えばもし、今帰り道になんらかの事故で死んだとして、それでも後悔がないと言えるのが人生の勝者という世間の捉え方ってある。でも、誰もが明日死んでもいいとは思えない。ある病院の院長が言ってたんだけど「体が動かなくなって植物人間になるなら殺してくれ」と言ってた人が、本当にそうなると言われ「じゃあ殺してくれ」と言った人はいなかったって。

福本伸行さんの言葉を借りるけど、生きる事って理不尽の連続だから、もし勝者という捉え方をするのなら、人生の「無念を愛せる」人なのかもしれない。


黒川 今住んでるとこはどんな街ですか?
井上 くる?
黒川 泊まれます?
井上 いいよ。うちでも寺(実家)でも。
黒川 お寺泊まりたい
井上 いいよ。くっそ寒いし俺は泊まらないけど(笑)